KPTを利用することで、「上手くいったこと」「改善するべきこと」「新たに実践するべきこと」を整理し、可視化することが可能です。個人ではもちろん、チームでの利用もおすすめします。本記事ではKPTについて解説します。
KPTとは?
KPTとは取り組んでいるプロジェクトを改善するために有効な方法の1つです。現状を「Keep(継続するべきこと)」「Problem(課題)」「Try(解決策)」という3つの項目を書き出し、今後の活動を考えます。
方法はシンプルですが、個人でも集団でも活用可能でさまざまなシチュエーションで利用できるのが魅力的です。アメリカのコンピュータープログラマーである「アリスター・コーバーン氏」が開発した原型を、アジャイルソフトウェア開発のコンサルタントの天野勝氏が発展させ『これだけ!KPT』で紹介しました。
KPTの使用方法
KPTの使用方法を6つのステップで解説します。
- 上図のように「Keep」「Problem」「Try」の3つのセクションに分割します。
- 個人やチーム全体がどんな経験をしてきたのかの思い出しを行います。
- Keepの欄に「上手くいったこと」「このまま継続すること」を書き出します。
- Problemの欄に「改善するべきこと」を書き出します。
- Tryの欄にKeepやProblemを受けて、「新たに実践するべきこと」「Problem」の解決策を書き出す。
- 3つのセクションに書き出した内容を整理し、表を完成させます。
- Tryの内容を実践します。一定期間後に再度KPTを使用し、振り返りを行います。
KPTはチームで使用することも多いため、職種が異なるメンバーでも簡単に理解できることが重要です。分かりやすく書き、色分けなどを行い、視認性を高めましょう。
KPTのメリット
KPTのメリットを紹介します。
さまざまな角度から振り返りが可能
多くのフレームワークではProblemにフォーカスしますが、KPTではKeepやTryも書き出すため、良くなかったことだけでなく、良かったことや、新たに実践するべきことを整理する良い機会となります。また文字に書き起こし、表にすることで可視化が可能で、チームでの共有が簡単です。
全員でTryを共有できる
KPTを利用することで、全員でTryを共有可能です。通常の会議での振り返りでは立場や人間関係により、正直な意見が言えないことや、異なる職種のメンバーの活動や状況が理解できないことがあります。
しかしKPTでは会議のように問題点を人に指摘するのではなく、表に書き込むため、「対人」ではなく「対Problem」という構図になり、正直な意見を出すのが簡単です。またKPTで分かりやすく可視化されることで、異なる職種のメンバーの活動や状況が理解できます。
前向きに振り返りを行うことが可能
Problemにフォーカスするフレームワークを利用すると、悪いことばかりに目がいってしまい、ネガティブな気持ちになってしまうことがあります。ネガティブな気持ちになれば、モチベーションが低下してしまうでしょう。
しかしKPTでは上手くいったこと「Keep」の振り返りも行います。「改善するべきこともあるが、上手くいったこともある」と考えながらTryを書き出せば、モチベーションのアップにつながるはずです。
KPTのコツ
Problemに過度にフォーカスしない
KeepとProblemのセクションはKPTの表では同じサイズであり、重要性は同等です。しかし実際にKPTを使用する際には、どうしてもProblemばかりに目がいってしまい、Problemばかりにフォーカスしてしまうことがあります。
しかし現状よりも大きな成果を出すためには、「マイナスをプラスに変える」ことも重要ですが、「プラスをより大きなプラスに変える」ことも重要です。Problemに過度にフォーカスしないように注意しましょう。
Keepの前に思い出しを行う
Keepの書き込みを行う前に、個人やチームの経験の思い出しを行い、チームに共有しましょう。共有を行わずにKPTを行うと、印象が強かった「上手くいったこと」「改善するべきこと」ばかりが挙がってしまいます。思い出しを行うことで、よりチームの成長に役立つKeepやProblemの書き込みが可能です。
まとめ
Problemにフォーカスせず、Keepを軽視しないことやあらかじめ思い出しを行えば、KPTは個人やチームが振り返りを行い、取り組んでいるプロジェクトを改善するのに役立ちます。特に問題点にフォーカスしたフレームワークを利用すると、ネガティブな気持ちになる方は、KPTを利用してみましょう。