特に問題なければ、あっという間にこの検査は終わり、貨物の受け取りもスムーズに進みます。
しかし何かしらの原因があった場合、通関検査で何日も止まり、荷物の受け取り迄かなりの時間を要したり、最悪の場合税関で貨物が没収されたりといった事態が起こります。
もし、通関検査でひっかかると、販売が滞る、キャッシュフローが悪くなるなど中国輸入ビジネスの経営において大きな影響を及ぼします。
そこで、今回はもし通関検査で貨物が引っかかった場合、どのように対処すればいいのかその方法について紹介していきたいと思います。
中国輸入貨物の到着から通関検査、受け取りまでの流れ
通関検査で止まった時の対処法の説明に入る前に、まず、中国から輸入した商品が日本に到着してからどのようなプロセスを経て受け取れるようになるのか簡単に説明したいと思います。
貨物の到着から受け取りまでの流れを把握しよう
中国から送られて貨物が日本で受け取れるようになるまでのフローと図は以下の通りになります。
フロー①船便、航空便に関わらず、中国から到着した貨物はいったん※保税地域で保管されます。
※保税地域とは・・・税関の輸入許可が下りていない状態で関税を留保したまま貨物を置くができる場所のこと
フロー②その後輸入者が依頼した通関会社が保税地域を管轄している税関に必要書類とともに輸入申告を行います。
フロー③提出された申告書をもとにそれぞれの貨物の通関検査や審査を行い、関税や消費税等が確定されます。もし、検査で問題があれば検査は長引きます。
フロー④検査で何も問題がない場合、輸入者が確定した関税を支払いその確認がとれると、輸入許可が下り、外国からの貨物を日本で受け取ることができるようになります。
通関検査が通る迄の具体的な日数とは?船便、航空便それぞれ見てみよう。
日本貿易振興機構(JETRO)によると、貨物が日本に到着してから輸入許可が下りるまでの船便、航空便それぞれの平均的日数は以下の通りです。
船便の場合
船便の場合、貨物の到着から輸入許可が下りるまでに掛かるまでの日数はおおよそ2~3日です。そして、そのうち輸入申告から輸入許可までの通関に掛かる時間はおおよそ2~3時間となります。(ただし、到着時間によって許可が下りるのが遅れる場合があります)
航空便の場合
航空便の場合、貨物の到着から輸入許可が下りるまでに掛かる日数はおおよそ半日と船便より早いです。(航空便の場合は生花、鮮魚、医薬品等納品を急がなければいけない物が多いため、船便より対応が迅速です)
そして、そのうち輸入申告から輸入許可が下りるまでの通関に掛かる時間は30分以内となっています。
中国から輸入した貨物が通関検査で引っかかる理由
中国から輸入した貨物が通関検査を通る際、検査で引っかかり、なかなか検査が通らないケースもあります。それはどういった場合なのかご紹介いたします。
通関検査で止まってしまう要因として以下の原因が考えられます。
通関検査が止まる理由➀:インボイスに不備がある場合
下記の場合はインボイス不備に当たり、通関検査で止まる可能性が高くなります。
- インボイスの商品数量と実際の中身の数量に違いがある場合
- インボイスに記載されている商品価格が安すぎる場合(想定される商品価値より低すぎる場合)
- そもそも申告がないものが実際の中身に含まれている場合
通関検査が止まる理由➁:ブランド品の偽物を輸入した場合
ニュースでもたびたび目にする偽ブランド摘発のニュース。
知的財産侵害物品である偽ブランドは販売自体が違法行為であり、当然日本への持ち込みはできません。
偽ブランドは税関での取り締まりがとても厳しく、万が一税関で見つかった場合は没収となります。
通関検査で止まる理由➂:薬事法にふれる商品を輸入しようとした場合
薬事法は人体に使用するものに関して適用されますが、具体的に下記4つの分野に分類されます。
- 『医薬品』
- 『医薬部外品』
- 『化粧品』
- 『医療機器』
このいずれかに該当する貨物を輸入した場合、税関で引っかかる恐れがあります。
通関検査で止まる理由➃:食品衛生法に触れる商品を輸入しようとした場合
食品衛生法に該当する『食品』『添加物』『器具(食器等)』『容器包装』『乳幼児向けおもちゃ』を輸入した場合、税関でひっかかる恐れがあります。(食品衛生法に該当する商品は食品そのものだけではなく、食品に触れるものも含まれてます。)
※食品衛生法に触れる商品を輸入するためには届け出(食品等輸入届出書)が必要です。
通関検査で止まる理由➄:ワシントン条約に触れる商品だった場合
ワシントン条約は絶滅の恐れがある動植物の保護を目的とした条約であり、これに触れる動植物の輸入は禁止されています。動植物実物ではなくても、商品の材料と使用されている革や木材等でも引っかかる恐れがあり、税関見つかれば没収となります。
通関検査で止まる理由➅:刀剣類を輸入しようとした場合
刀剣類に該当しない刃物(調理器具等)については、輸入は認められていますが、刀剣類に該当する商品の輸入は原則下記の場合のみ輸入が可能です。
- 美術品として価値のあるものとして都道府県教育委員会の登録証又は登録可能証明書が交付された場合
- 都道府県公安委員会の所持許可を受けた場合
関税法で定められている輸入禁止項目を確認しよう
通関検査で止まってしまう恐れのある商品をご紹介しましたが、そもそも法律で輸入自体禁止されている物もあるので、そちらもご紹介します。
詳細は以下の通りです。
※http://www.customs.go.jp/mizugiwa/kinshi.htm
税関ホームページより抜粋
これらの輸入禁止品目の輸入は犯罪行為にあたります。決して輸入しないようにしましょう。
中国輸入商品が日本の通関検査で止まった時の対処法
通関検査でひっかかる恐れのある商品やまた輸入自体禁止されている商品を輸入すれば当然通関検査で止まります。
しかし、何の違法性もない通常商品にもかかわらず、通関検査で止まってしまった場合どうしたらいいのでしょうか?
最後にその対処法についてご紹介いたします。
①税関からのお知らせが届いたら通関検査で通関できない理由を直ちに確認
まず、貨物の中に通関できない商品が紛れていた場合、税関から以下の様な『外国から到着した郵便物の税関手続きのお知らせ』という郵便物が届きます。
まずは、なぜ通関で止まっているのか、ハガキにある『連絡事項』欄の内容を確認して、通関検査で止まった理由を把握しましょう。
※この通知が届くと、自分の貨物がすべて没収されるかもと心配される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、違法性のない通常商品であれば、必要な対応をすれば通関検査も通りますので、まずは焦らず、冷静に行動です。
②次に税関に電話して具体的に状況を確認
税関からのお知らせの「連絡事項欄」を確認したら、次はただちに税関に電話で連絡しましょう。(税関に連絡するための電話番号は通知書に記載されています。)
電話では『一番早く貨物を受け取る方法』や、『貨物をうけとる為に必要なこと』を聞きましょう。
➂通関検査パスのための指示を税関職員から聞き、忠実に実行
明らかに違法商品であれば、すべて税関に没収されますが、違法性のないものであれば、必要書類等を追加提出すれば通関検査がクリアできるケースもあります。
税関職員の方から、通関検査パスに何が必要なのか詳しく聞き、それに対して素早く行動しましょう。(何が必要か自分で調べることもできますが、税関に直接連絡して聞くほうがより正確により早く情報を得ることができます。)
④必要な対策を講じた後、通関許可が下りたかどうか確認
税関への必要書類の提出等のやり取りはメールが基本ですが、メール確認漏れの恐れもあります。もし通関許可の連絡があまりにも遅ければ、税関に直接電話して確認しましょう。
以上がもし通関検査で貨物が止まった時にとるべき対処法になります。
なお、中国⇔日本の輸入間に通関会社が入っている場合、通関検査で何らかの問題が発生した場合はは通関会社を介して連絡が入ります。
その場合も、同じように通関検査パスするための指示を通関会社から仰ぎ、素早く行動していきましょう。
最後に
いかがでしたか?
中国から輸入した商品がもし通関検査でとまってしまったら、まずは焦らず、冷静に行動することが重要です。
最短で貨物を受け取る方法はどんな方法か、通関検査を通すためには何が必要なのか等、情報を素早く入手し、少しでも早く貨物が受け取れるように確実に対応していきましょう。
また、通関検査をスムーズに通らせるためにも、商品選定の段階で検査に引っかかりそうな怪しい商品は除外し、極力輸入しないようにするのもいいかもしれませんね。
仮に通関検査で通るかどうか分からない商品だった場合は、中国輸入代行業者に相談してみましょう。