中国輸入において簡易通関を利用したい方向けに、初心者でも簡単に理解できるよう、簡易通関と簡易税率について解説しています。本記事を読めば、簡易通関について網羅的に知ることが可能です。
目次
簡易通関とは?
簡易通関は日本において物品を輸入する際に、少額輸入貨物に関して簡易な手続きを行うことで、一般輸入貨物よりも迅速な通関を可能にする仕組みです。ただし簡易通関として取り扱われるのは申告者が希望した場合に限られます。希望しない場合には、一般の通関と同様の手続きを行うことになります。
輸入申告書の品名欄の各欄の課税価格が20万円以下の輸入貨物が簡易通関の対象です。また以下の規定に該当する貨物も簡易通関の対象となります。
- 関税定率法第17条第1項第2号により輸入貨物の容器の際輸出免税
- 第3号の輸出貨物の容器として使用される貨物の際輸出免税
ただ以下の規定の適用を受ける場合には、簡易通関の対象とはならないため注意しましょう。
- 輸入貿易管理令第4条第1項の規定
- 関税定率法第14条における無条件免税および第16条の外交官用貨物等の免税の規定を除く、その他の減免税の規定
- 関税暫定措置法の規定による減免税の適用
中国輸入における簡易通関のメリットとは?
関税を抑えることが可能
簡易通関の際には、「簡易税率」が適用されます。簡易税率はアルコール飲料とそれ以外の6区分に大別された品目分類により税率が確定され、通常の「実効税率」よりも税率が低いです。また実効税率が約9,000もの品目分類の中から、輸入貨物に該当する税率が適用される一方で、簡易税率は6区分の品目分類により税率が確定されるため、簡単に計算できます。
必要証明書類が免除される
簡易通関では必要証明書類が免除されます。例えば実効税率が適用される場合、関税の免除を受けるためには「特定原産地証明書」が必要ですが、簡易通関の場合には、提出が免除されます。その他にも通関の場合には提出が免除される必要証明書類が複数存在し、より簡単に商品を輸入可能です。
中国輸入における簡易通関の申告方法について解説
中国輸入において、輸入貨物の簡易通関を希望する場合、輸入申告書に「少額貨物簡易通関扱」と表示して申告を行います。申告を行うことで、輸入申告書における「申告種別符号・入港年月日・船荷証券番号・船(取)卸港符号・貿易形態別符号・原産国(地)符号・輸入者符号・減免税条項適用区分符号」などの各欄への記入を省略可能です。
中国輸入における簡易通関と簡易税率について解説
簡易通関についてはページの上部で解説しましたが、中国輸入においても同様です。 主に輸入申告書の品名欄の各欄の課税価格が20万円以下の輸入貨物が簡易通関の対象となります。品目ごとの簡易税率は以下の通りです。
品目(具体例) | 簡易税率 | |
1 | 酒類 (1)ワイン (2)蒸留酒 (3)清酒・りんご酒等 |
70円/L 20円/L 30円/L |
2 | トマトソース・氷菓・なめした皮毛(ドロップスキン)・皮毛製品等 | 20% |
3 | コーヒ・紅茶を除く茶・なめした皮毛(ドロップスキンを除く)等 | 15% |
4 | 衣類および衣類付属品等 | 10% |
5 | プラスチック製品・ガラス製品・卑金属等 | 3% |
6 | ゴム・紙・鉄鋼製品・陶磁製品・スズ製品等 | 無税 |
7 | その他 | 5% |
これらの簡易税率が送料・保険・その他の経費を含む商品代金に適用されます。
中国輸入における簡易通関の活用例
中国輸入において簡易通関を活用することで、関税を抑えることが可能です。中国輸入ではアパレルは人気ジャンルの1つです。女性用のドレスを輸入するとしましょう。
女性用ドレスの実効税率はWTO協定により10.9%です。一方で簡易税率では10%のため、0.9%の関税を抑えることができます。
中国輸入における簡易通関についてのまとめ
輸入申告書の品名欄の各欄の課税価格が20万円以下の輸入貨物が簡易通関の対象となります。簡易通関を利用することで、関税を抑え、必要証明書類の提出の免除を受けることが可能です。
仕入れコストを抑えることができれば、その分利益率を高めることが可能なため、簡易通関で適用できる場合には積極的に適用を希望しましょう。