中国輸入を行うと商品に対して関税がかかることを知っているが、具体的な計算方法や仕組みがよく分からないという悩みを抱えていないでしょうか。
中国輸入で発生する関税は実際の利益率にも影響するため、しっかり把握しておく必要があります。
今回は関税についての知識を深めるために、関税の仕組みや計算方法について詳しくご説明します。
関税ってなに?関税のしくみとは
関税とは「輸入品に課される税金」のことです。関税の税率は輸入元の国や商品によって異なり、さらにすべての商品にかかるわけでもありません。
関税は税関、つまり国に支払いを行います。
関税の仕組みについて
そもそも関税は「国内産業を守るため」に存在しています。
たしかにお肉などは外国産の方が安いというイメージがある人が多いと思いますが、もし外国産のお肉に関税が発生していないと、今よりもより安い値段で外国産のお肉が売られるようになります。
国産のお肉の方が外国産のお肉より少し高いくらいでは、国産のお肉を買う人も少なくないと思いますが、例えば国産のお肉より50%近く外国産のお肉の方が安いとなるとどうでしょうか。
そうなると、国産のお肉がかなり高く見えて外国産のお肉の方が売られるようになるかもしれません。皆が外国産のお肉を買うと日本の畜産家の存続が危うくなってしまいます。
そうならないために、輸入品には関税が必要なのです。
輸入方法によって関税率も変わる!
実は同じ商品を輸入する場合でも、「輸入方法」によって関税率が異なります。では、いったいどういうことなのか詳しく見てみましょう。
実は輸入には基本的に2つの輸入方法が存在しています。
それは、「個人輸入」と「商用輸入」になります。
個人輸入は個人で使用する目的での輸入となります。一般的には「外国の製品を個人が使用することを目的として、海外の小売店、メーカー、オンラインショップなどを通して直接購入すること」を言います。
一方で、商用輸入とは、第三者に販売することを目的として輸入することを指しています。そのため、中国輸入ビジネスは国内販売を目的とする輸入なので「商用輸入」になります。
個人輸入と商用輸入の関税率の計算方法はそれぞれ下記の通りとなります。
【個人輸入の場合】商品代金の60% x 関税率
【商用輸入の場合】(卸売価格+送料+保険+その他経費)の100% x 関税率
商用輸入の場合は商品価格だけでなく、輸入にかかった費用(送料、保険など)すべてが課税価格に含まれるのに対して、個人輸入の場合は商品価格の60%のみが課税価格に含まれます。なので、個人輸入の方が商用輸入にくらべて請求される関税が安くなっています。
中国から輸入する場合、簡易税率と実行関税率どちらが適用される?
関税率は課税価格によって適用される税率が変わります。
課税価格が20万円以下の場合は簡易税率が適用され、20万円を超える場合は実行関税率が適用されます。
そのため、中国輸入ビジネスでは商品代金と国際送料の合計が20万円を超える場合は実行関税率が適用されます。
簡易税率と実行税率の詳細については税関ホームページをご参照ください。
ちなみに課税価格が10,000円以下になる場合は原則として関税は免除されます。ですが、酒税、たばこ税などがかかる一部商品については関税率は免除されませんのでご注意ください。
課税価格が1万円以下の貨物の場合、原則として、関税、消費税および地方消費税は免除されます。ただし、酒税およびたばこ税・たばこ特別消費税は免除になりません。また、革製のバッグ、パンスト・タイツ、手袋・履物、スキー靴、ニット製衣類等は個人的な使用に供されるギフトとして居住者に贈られたものである場合を除き、課税価格が1万円以下であっても関税等は免除されません。
中国輸入でかかる関税を安く抑える方法ってあるの?
関税は基本的にインボイスの金額を元に計算されるようになっています。つまり、実際の商品価格よりインボイスの金額を安く表示させることも現実としては不可能ではありません。
ですが、これはアンダーバリューという脱税行為になりますので、絶対にしてはいけません!
アンダーバリュー行為は輸入金額の過少申告となり、犯罪行為となります。見つかれば、ペナルティ、最悪中国輸入ビジネス自体継続不可能になってしまうこともあり得ます。
アンダーバリューはやってはいけない行為なので、正しい金額で申告することが重要です。
関税を支払うことは納税の義務と同じくらい大事なことなので、残念ながら安く抑えることはできません。
輸入する時にかかる関税以外の費用について
ちなみに中国から商品を輸入する時にかかるのは関税だけではありません。
税金については関税以外に、「消費税」と「地方消費税」がかかります。消費税と地方消費税は課税価格の計10%が適用されます。
さらに、輸入通関が必要な貨物であれば、通関業者(乙仲)に申告業務を依頼する必要があります。その際に発生した手続きに対して、「通関手数料」と「立替手数料」がかかります。
ちなみに国際宅急便(EMS、DHLなど)を利用する場合は、通関は自動的に行われるので、通関業者を別途依頼する必要はありません。
中国輸入の関税についてまとめ
今回は中国輸入ビジネスでかかる関税についてご紹介しました。
関税は必ず税関に支払わないといけない費用で、インボイスの価格を故意的に安く記載するのは違法行為となりますので、必ず正しい購入金額を記載の上で申告を行うことが重要です。
関税は輸入する商品だけでなく、輸入の目的や課税金額によっても税率や計算方法が異なるので少々複雑だと感じるかもしれません。
輸入しようとしている製品にいくら関税がかかるのかを事前に詳しく知りたい人は税関の「事前教示制度」を活用するといいでしょう。